技能実習制度とは開発途上国などでは経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識を習得させようとするニーズがあります。このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を最長5年間業界に受け入れて、産業上の技能等を習得してもらう制度です。
この制度は、技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っております。
技能実習制度の基本理念を実行する為、技能実習生を受け入れる企業(実習実施者)には様々な制限や義務が課せられています。
下図の通り、受入れが可能な人数枠は常勤の職員の総数により定められています。
基本人数枠 | ||
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実習実施者の 常勤職員総数 |
技能実習生の 人数(第1号) |
技能実習生の 人数(第2号) |
301人以上 | 常勤職員総数 の1/20 |
基本人数枠 の2倍 |
201~300人 | 15人 | |
101~200人 | 10人 | |
51~100人 | 6人 | |
41~50人 | 5人 | |
31~40人 | 4人 | |
30人以下 | 3人 |
下図の通り、受入れが3年又は5年間可能な職種・作業内容についても細かく定められています。
受入れ企業は、受け入れようとする技能実習生ごとに、技能検定又は技能評価試験の合格を目標に、どのように技能実習を行うかの計画書(技能実習計画)を作成し、技能実習機構の認定を受ける必要があります。受け入れ後は適正に技能実習計画を実施し、入国1年目に技能検定基礎級を、3年目に技能検定随時3級を、5年目には技能検定随時2級を受検・合格させなければなりません。
国際貢献とはいえど、技能実習生と受入れ企業(実習実施者)は雇用契約を締結します。そのため一般の労働者と同様に労働基準法や社会保険等が適用されます。加えて、技能実習生は外国籍のため出入国管理及び難民認定法に則る必要もあります。
技能実習制度だけではなく、様々な法的および環境的観点より適正な受け入れ、技能実習の実施が求められます。私たち監理団体はそのお手伝いをさせていただきます。
特定技能制度とは人材を確保することが困難な状況にある特定の産業分野に限り、深刻化する人手不足の解消を目的として一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。
2019年4月より新たに「特定技能1号」及び「特定技能2号」の在留資格が創設されました。
「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。出典:特定技能ガイドブック(出入国在留管理庁)
技能実習2号を良好に修了した者は特定技能制度における特定技能1号の技能水準・日本語能力水準を達しているとみなされるため、(技能水準については技能実習2号移行対象職種が特定技能者を受入ることが可能な産業分野であることに限られます)特定技能制度と技能実習制度は混同されがちですが主旨は全く異なります。
技能実習(団体監理型) | 特定技能(1号) | |
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関係法令 | 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律/出入国管理及び難民認定法 | 出入国管理及び難民認定法 |
在留資格 | 在留資格「技能実習」 | 在留資格「特定技能」 |
在留期間 | 技能実習1号:1年以内、技能実習2号:2年以内、技能実習3号:2年以内(合計で最長5年) | 通算5年 |
外国人の技能水準 | なし | 相当程度の知識又は経験が必要 |
入国時の試験 | なし (介護職種のみ入国時N4レベルの日本語能力要件あり) |
技能水準、日本語能力水準を試験等で確認 (技能実習2号を良好に修了した者は試験等免除) |
送出機関 | 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 | なし |
監理団体 | あり (非営利の事業協同組合等が実習実施者への監査その他の監理事業を行う。主務大臣による許可制) |
なし |
支援機関 | なし | あり (個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行う。出入国在留管理庁長官による登録制) |
外国人と受入れ機関のマッチング | 通常監理団体と送出機関を通して行われる | 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能 |
受入れ機関の人数枠 | 常勤職員の総数に応じた人数枠あり | 人数枠なし(介護分野、建設分野を除く) |
活動内容 | 技能実習計画に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動(1号) 技能実習計画に基づいて技能等を要する業務に従事する活動(2号、3号)(非専門的・技術的分野) |
相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動(専門的・技術的分野) |
転籍・転職 | 原則不可。ただし、実習実施者の倒産等やむを得ない場合や、2号から3号への移行時は転籍可能 | 同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能 |
人手不足解消の手段ではありますが、特定産業分野に該当している必要があり、どんな分野や職種でも受入れが可能なわけではありません。
1号特定技能者を受け入れることが可能かどうか、特定産業分野に該当するかは各所管省庁(介護分野は厚生労働省、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造分野は経済産業省、建設分野は国土交通省など)がそれぞれ方針を定めています。受入れが可能かどうかはその所管省庁の基準に該当することが必要です。
なお、受入れ機関は該当する分野別の協議会の構成員にならなければなりません。
また、1号特定技能者を受け入れる企業(受入れ機関)は、技能実習制度のように特定技能者に対して、職業生活上のみなならず、日常生活や社会生活上の様々な支援を行う必要があります。
受入れ機関はそれらの支援の実施に関して計画(1号特定技能外国人支援計画)を作成する必要があります。
支援計画は登録支援機関に全部または一部を委託することもできます。
当組合は登録支援機関でもありますので、お手伝いさせていただきます。